覚書です。
事業所得がある個人事業主の方で、さらに株式投資(分離課税)も行っている方の基本はこちらの記事で解説しました。
株式譲渡益でふるさと納税をすると国民健康保険料が高い!?【確定申告】
株式譲渡益(分離課税)のふるさと納税 限度額 早見表
専業投資家や「事業所得はゼロ(あるいは赤字)で、生活費のほとんどを株の利益で賄っている」という個人投資家の方は、こちらの表を参考にしてください。
前提条件:
- 収入は「株式譲渡益(特定口座・源泉徴収あり/なし)」のみとする
- 確定申告を行って、株式譲渡益を申告済みであること(申告しないとふるさと納税の控除対象になりません)
- 独身・扶養なし
計算式(分離課税の場合)
上限額 ≒ (課税所得 × 5%) × 20% ÷ (90% – 15% × 1.021) + 2,000円
分離課税の場合、住民税率は5%、所得税率は15%(復興特別所得税込みで15.315%)です。
簡易計算式:上限額 ≒ 住民税所得割額 × 26.779% + 2,000円
【計算例】課税所得350万円(株式譲渡益)の場合
- 住民税所得割額 = 350万 × 5% = 175,000円
- 上限額 = 175,000 × 26.779% + 2,000 = 46,863 + 2,000 ≒ 約49,000円
エビデンスURL(分離課税)
上場株式等に係る配当所得 15% X=住民税所得割額×26.779%+2,000円
https://www.city.toki.lg.jp/kurashi/zeikin/1004700/1007139/1007140.html
岐阜県土岐市の公式サイトです。分離課税(株式等に係る譲渡所得)の場合の上限額計算式が記載されています。
早見表(分離課税)
| 課税所得(株式譲渡益) | ふるさと納税 限度額(目安) | 国保(所得割=増加分) | 国保(年額合計の目安) |
|---|---|---|---|
| 0円 | 0円 | 0円 | 約1~2万円(基本料金のみ※) |
| 100万円 | 約15,000円 | 約57,000円 | 約10~11万円 |
| 200万円 | 約28,000円 | 約157,000円 | 約20~21万円 |
| 300万円 | 約42,000円 | 約257,000円 | 約30~31万円 |
| 350万円 | 約49,000円 | 約307,000円 | 約35~36万円 |
| 400万円 | 約55,000円 | 約357,000円 | 約40~41万円 |
| 500万円 | 約69,000円 | 約457,000円 | 約50~51万円 |
| 600万円 | 約82,000円 | 約557,000円 | 約60~61万円 |
| 800万円 | 約109,000円 | 約757,000円 | 約80~81万円(上限あり) |
| 1000万円 | 約136,000円 | (上限適用) | 約90万円(上限) |
※国保料は確定申告した場合のみ増加します。特定口座(源泉徴収あり)で確定申告しなければ影響ありません。
※年額合計=所得割(増加分)+基本料金(均等割)約4~5万円。基本料金は所得に関係なくかかります。
※ただし低所得者には7割・5割・2割の軽減制度があり、基本料金が約1~2万円になることが多いです。
※事業所得などがなく株の利益のみ(専業トレーダー等)の場合は、ここから住民税の基礎控除(43万円)などが引かれるため、実際の限度額は表よりも少し(数千円~1万円程度)下がります。
国民健康保険料の計算式(株式譲渡益を申告した場合)
国保(所得割=増加分) ≒ (株式譲渡益 – 基礎控除43万円) × 所得割率(約10%)
国保(年額合計) ≒ 国保(所得割) + 基本料金(約4~5万円)
【計算例】課税所得350万円(株式譲渡益)の場合
- 渋谷区(10.40%):(350万 – 43万) × 10.40% = 307万 × 10.40% ≒ 約319,000円
国民健康保険料は「医療分」「支援金分」「介護分」で構成され、所得割率は自治体によって異なります(約10〜13%)。上記は40歳未満(介護分なし)の目安です。
- 医療分:約7〜8%
- 支援金分:約2〜3%
- 介護分(40〜64歳):約2〜3%
- 世帯限度額:約90〜109万円(超えた分は切り捨て)
エビデンスURL(国民健康保険)
当該所得について、確定申告をしない場合は国民健康保険料の算定の対象となりません。しかし、確定申告をした場合は、住民税においてもその選択した課税方式と一致することとなり、申告された内容をもとに国民健康保険料の算定も行うことになります。
このため、当該所得について確定申告を行い所得税や住民税が減額される場合でも、国民健康保険料は増額される場合があるため、申告にあたりましては国民健康保険料への影響もご留意いただき総合的な判断をお願いいたします。
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a031/kenkouhoken/kokuho/kabuhaitou.html
東京都荒川区の公式サイトです。株式譲渡益を確定申告すると国保料が増加することの根拠です。
損益通算や繰越控除等の適用を受けるために確定申告をする場合は、その適用後の所得金額が保険料の算定及び70歳以上の医療費の自己負担割合の判定対象に含まれます。
確定申告の結果、見込まれる税額上の還付分や減額分よりも、保険料の増額分が上回る場合がありますので、ご注意ください。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/hokenryo/kabuhaitou.html
横浜市の公式サイトです。株式譲渡益・配当を確定申告すると国保料の算定対象に含まれ、保険料が増額になる場合があることの根拠です。
よくある質問:特定口座なら申告不要?総合課税になる?
Q. 特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告しなくていい?
A. はい、原則不要です。
そのまま何もしなければ、分離課税(約20%の源泉徴収)だけで課税関係は終了します。これを「申告不要制度」といいます。
Q. 申告すると「総合課税」に戻っちゃうの?
A. いいえ、「株の売却益」は申告しても必ず「分離課税」です。
日本の税制では、株の売却益を総合課税にすることはできません。
ただし、以下の点と混同しやすいので注意してください。
- 配当金:申告する場合、「分離課税」か「総合課税(配当控除あり)」を選べます。
- 国保料への影響:申告すると(分離課税であっても)、その所得が国保料の計算に含まれます。これを「総合課税のように合算されて高くなる」と誤解されることが多いです。
結論:申告しても売却益は分離課税のままですが、「国保料が高くなる」というデメリットは発生します。
確定申告すべき?国保料との損得
株式譲渡益を確定申告すると:
- メリット:ふるさと納税の控除が受けられる、損益通算・繰越控除ができる
- デメリット:国保料が増加する
結論:国保料の増加額がふるさと納税のメリットを大きく上回るため、損益通算や繰越控除の目的がなければ、確定申告しない方が得になるケースが多いです。
年末の損切り(損出し)はいつまで?日本株・米国株
年内の損益通算に間に合わせるには、受渡日が年内である必要があります。約定日ではないので注意してください。
日本株の場合
- 受渡日:約定日から2営業日後(約定日+2営業日)
- 年内受渡の最終売買日:例年12月26日頃(その年のカレンダーによる)
例えば、12月30日(月)に約定しても、受渡日は1月6日(翌年の最初の営業日)になるため、翌年の損益として計算されます。
米国株の場合
- 受渡日:約定日から2営業日後(米国現地基準)
- 年内受渡の最終売買日:例年12月24日頃(現地時間、短縮取引の場合あり)
米国株は日本より早く締め切られます。クリスマス休暇の影響で12月24日が短縮取引になることが多く、日本時間では12月25日の早朝3時頃が実質的な期限となります。
2025年内受渡の国内株式の最終売買日は、12月26日(金)です。米国株は現地時間12月24日(水)13時(日本時間12月25日(木)午前3時)までが、2025年の受渡となります。
https://info.monex.co.jp/news/2025/20251203_05.html
マネックス証券の公式サイトです。2025年の具体的な期限が記載されています。
2025年内の損益を確定するための取引最終日
https://faq.sbisec.co.jp/answer/63a270efa841c34f4c009477
https://site1.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_home&cat1=home&cat2=none&dir=info&file=home_info231215_tax_transaction.html&_gl=11b3dcry_gcl_auNTA4OTkxNTk0LjE3NjUxMjgzOTg._gaMTM2ODY5OTIxMi4xNzYwMjYxNTg1_ga_2X743H1G05*czE3NjY5MTU2NjYkbzEwNzckZzAkdDE3NjY5MTU2NjYkajYwJGwwJGgw
SBI証券の公式サイトです。年内損益確定の最終取引日についてのFAQです。
※年末損切り期限は証券会社共通です。受渡日ベース(約定日+2営業日)は取引所のルールなので、どの証券会社でも同じです。
個人事業主(事業所得・総合課税)のiDeCoや小規模企業共済の控除は意外と多い!?
個人事業主(事業所得・総合課税)のふるさと納税 限度額 早見表
こちらは一般的な「事業所得」や「不動産所得」など、総合課税のみの場合の早見表です。
住民税率が10%であるため、分離課税(株の利益)の場合よりも限度額は高くなります。
計算式(総合課税の場合)
上限額 ≒ (課税所得 × 10%) × 20% ÷ (90% – 所得税率 × 1.021) + 2,000円
総合課税の場合、住民税率は10%です。所得税率は課税所得に応じて5%〜45%となります。
【計算例】課税所得350万円(事業所得)の場合
- 住民税所得割額 = 350万 × 10% = 350,000円
- 所得税率 = 20%(330万〜695万円の税率)
- 上限額 = 350,000 × 20% ÷ (90% – 20% × 1.021) + 2,000
= 70,000 ÷ 0.6958 + 2,000 = 100,604 + 2,000 ≒ 約103,000円
エビデンスURL(総合課税)
③個人住民税(特例分)・・・(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率(0~45%(※)))
https://www.soumu.go.jp/main_content/000448758.pdf
→①、②により控除できなかった額を、③により全額控除(所得割額の2割を限度)
総務省の公式PDFです。「所得割額の2割を限度」の根拠です。
【補足】なぜ引用の式と記事の式が違って見えるのか?
引用の式は「寄付額から控除額を求める式」ですが、記事の式は「上限額を逆算する式」です。以下の手順で導出できます。
ステップ1:引用の式を整理する
引用の式(100% – 10% = 90%と整理):控除額(特例分) = (ふるさと納税額 - 2,000円) × (90% - 所得税率 × 1.021)
ステップ2:上限の条件を式にする
「所得割額の2割を限度」なので、上限ギリギリのとき:控除額(特例分) = 住民税所得割額 × 20%
ステップ3:上限額をXとして方程式を解く
上限額を X 円とすると:住民税所得割額 × 20% = (X - 2,000) × (90% - 所得税率 × 1.021)
これを X について解くと:X = 住民税所得割額 × 20% ÷ (90% - 所得税率 × 1.021) + 2,000円
これが記事の計算式です。
早見表(総合課税)
| 課税所得 | ふるさと納税 限度額(目安) |
|---|---|
| 0円 | 0円 |
| 100万円 | 約26,000円 |
| 200万円 | 約52,000円 |
| 300万円 | 約77,000円 |
| 350万円 | 約103,000円 |
| 400万円 | 約117,000円 |
| 500万円 | 約146,000円 |
| 600万円 | 約174,000円 |
| 800万円 | 約242,000円 |
| 1000万円 | 約357,000円 |
※独身・扶養なしの場合の試算です。
シミュレーション
シミュレーションはこちらの記事をご覧ください。
【注意】「課税所得100万円」のハードルは意外と高い?
表の「課税所得」は、売上や手取りの利益(事業所得)とは別物です。
青色申告の場合、多くの控除を引くため、見た目の利益よりかなり低くなります。
計算式(青色申告の場合)
課税所得 = 売上 - 経費 - 青色申告(65万) - 基礎控除(48万) - 社会保険料(年金・国保など)
特に国民年金は誰でも払っているはずですし、iDeCoをやっている場合はその全額が控除されます。
【ケーススタディ】課税所得が「0円」になる利益(事業所得)のライン
控除合計を逆算すると、以下の利益までは課税所得ゼロ(ふるさと納税メリットなし)となります。
※前提:基礎控除48万 + 青色申告65万 + 社会保険料約35万(年金20万+国保15万)= 基本控除148万円 と仮定
| iDeCoの掛金 | 年間控除額 | 課税所得0円になる利益(目安) |
|---|---|---|
| ① なし | 0円 | 約148万円 まで0円 |
| ② 月2万円 | 年24万円 | 約172万円 まで0円 |
| ③ 月6.8万円(満額) | 年81.6万円 | 約230万円 まで0円 |
さらに小規模企業共済も併用している場合、控除額はさらに増えます。
| iDeCo + 小規模企業共済 | 年間控除額 | 課税所得0円になる利益(目安) |
|---|---|---|
| iDeCo満額 + 小規模月7万円 | 年81.6万 + 年84万 = 年165.6万円 | 約314万円 まで0円 |
「手取り利益が200〜300万あるから大丈夫」と思っていても、実は税金がかかっていないケースが多いので注意してください。





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